SPECIAL

実録・FANCLUBはこうして生まれた
スカート 澤部渡

オープニングテーマ”FANCLUB”を作った「スカートとODD Foot Works」のスカートの方です。普段はスカートというバンドを主宰しています。「霧尾ファンクラブ」はスカートのジャケットの数多くを手がけてくれたデザイナーの森敬太さんに勧めてもらって読み始めたのが最初だったので、まさかOPで参加するなんて!とても光栄です。

スカートは普段、正式なメンバーは私しかいないうえに内向的な性格ゆえにかなりクローズドなバンドに分類されると思います。でもときどきこうやってコラボレーションの話をもらうと、いろんな音楽の作り方があるんだな、と興奮もしますし、その分視野が広くなっていくような気がしています。今回の”FANCLUB”はまず最初にアニメ尺の89秒を目標に作り始めました。アッパーだけどそのアッパーさには人間的な繊細さがある作品なので、その性質をどうやって音楽に落とし込もうか、と探り探りやっていって現在の形に仕上がりました。イントロからPecoriくんがラップしてる間、鳴っているリフはギターの弦を2本だけ鳴らして、その1本はずっと同じところを弾いて、もう1本は上に下にと動き回る、というふうにして弾いているんですが、この感じも少しコメディっぽい、もしかしたら「霧尾ファンクラブ」っぽいのかな、なんて自分では思っています。

ODD Foot Worksの皆さまのアレンジやリリックも本当にかっこいい……自分一人で作っていたら絶対にこうはなっていなかった!スリリングでオーバー・ザ・トップなビートなのにどこか少し抜けたスラップスティックのムードも漂っていて超最高な仕上がり!アニメともども末長く楽しんでくださいッ!!!

スカート 澤部渡


本来の意味での「ファン」
撮影監督 志村豪

当作品のタイトルにもある「ファンクラブ」の「ファン」
これは「楽しい」などの意味を持つ「Fun」ではなく、
「熱狂的信者」などを意味する「Fanatic」の「ファン」です。
藍美と波の「推し活」はまさにこの「Fanatic」を体現したものだと思います。

2話では霧尾本人があずかり知らぬところで、
オリジナルラブ(涙なめなめ)ソングを制作し、
未遂に終わったものの、本人に送りつけようという狂気の沙汰。
二人の常軌を逸した行動は「推し活」とは何か
考えるきっかけを我々に与えてくれているのかもしれません。
皆様は「熱狂的な推し活」していますか?

撮影監督らしく映像の話もしていきたいと思います。
キモである「ラブソング~霧尾くんへ捧ぐ~」の楽曲制作シーンでは
夕方の音楽室という場面で、窓からの入射光と、
その光を受け反射して光る粒子によってシーンを彩っています。
この光の粒子は作中度々登場します。

美しく見せたいカットで賑やかしとして使われることもあれば、
今回のように話数のハイライトとなるシーンで使われることもあります。
夕焼けのオレンジの中、懸命に歌う二人の煌めきを表現しています。
一部歌詞の狂気から目を背ければ、青春の1ページといった雰囲気になったと思います。

1話でも霧尾の学ランが木に引っかかっているカットで
「霧尾くんの制服の神聖さ」が引き立つよう光や粒子が使われています。

業界外の方からすると「撮影」とは何をする仕事かよくわからないと思います。
基本的にはセルと背景を合成し、決められた動きをつける役割で、
その他にも画面にニュアンスを持たせたり、
空気感や雰囲気を作り上げていく役割を担っています。
担当するスタッフの技量やセンスによって仕上がりがガラリと変わる場合もあります。
「霧尾ファンクラブ」は撮影処理をゴリゴリに盛ったり、
前面に押し出す作品ではありませんが、
藍美たちの心の機微や、人間関係などを素直に伝えられる画面作りを目指しています。
ご覧の皆様が作品を楽しむ一助になれればと思います。

撮影監督 志村豪


笑活 泣活のススメ
監督 外山草

第1話ご視聴くださり、ありがとうございました。
新入学新学期新年度の桜の花のころに放送スタートしましたこの作品、
新生活のお供にどうか最終回までお付き合いください。

魔法などの術をもたない普通の高校生たちが織り成すこの青春群像劇は、
誰かが誰かを思っている、そのベクトルの強さ、
更にとことん一方通行であることで織りなす笑い、切なさ、
予期できぬ出来事が展開されていきます。

誰かが誰かを思うベクトルを表現する作品の象徴として第1話では、
藍美が波を肩車するというシーンをカメラ固定のワンカットで撮りました。
アニメーション作画としては高度で難易度の高い挑戦でしたが、
スタッフの力を借りて表現することができました。
ご視聴くださった方々の胸になにかを届けられるシーンになっていたら幸いです。

藍美と波の二人が思いを寄せる(推しの)人をめぐり明るく進んでいた第1話、
ラストは一転し、雨のシーンとなり、藍美、波、それぞれ一人になります。
そこで見せる藍美と波の表情の違いも忘れずにいてください。
これから進んでいく物語のベクトルを象徴しています。

この作品で笑っていただきたい、泣いていただきたい、
笑っていいのか泣いていいのかわからくなることも度々起きます、
そんな時はぜひ笑ってあげてください、笑活、泣き活に大いに活用してください。
原作者地球のお魚ぽんちゃん先生とアニメ制作スタッフの思いのベクトルが、
どうかみなさんのもとへとどきますように

監督 外山草